「覇王賭博伝零ギャン鬼編1巻と熱いぜ辺ちゃん1巻を1話ずつ交互に読んでみた」 多少ネタバレ注意。 ・前置き 初期の福本作品でどうしても読みたい作品があって、漫画の宝石箱まんだらけで『RUDE39』を探すも手に入らず。 (RUDE39以外の初期作品はちょこちょこ置いてあるのに。あるのに…RUDE39だけなんでーっ!) お店で叫ぶわけにはいかないので、こればかりは心の中で叫ぶしかない。 RUDE39は探してかれこれ数年は経っているので、手に入らなかったときの感情の落差が年々大きくなってきているのだ。 「また、まんだらけ来よう。希望はあるさ。グスン」 手ぶらで帰りたくなかったので、なんとなく覇王賭博伝零ギャン鬼編1巻と熱いぜ辺ちゃん1巻を買って、帰りの電車でガタゴト揺られながら座席でボーッとする。 (どっちから先に読もうかなあ?どっちも先に読みたいなあ。2冊とも気になるから1冊に選べないし…そうだ!同時読み、いや交互読みだ!1話ずつ交互に読めば問題ないんだ) 思いもよらない読書法を車両で思いついて、それだけで人生得したような気がしてルンルン♪気分でご帰宅。 袋開封後は立ち読み防止のビニール包装をバリバリ破って、時間を忘れるほど1日中読みふけるのでありました。 ******************* <覇王賭博伝零ギャン鬼編 第1話「伝説」> 久々に零シリーズを読むので、これまでのストーリーをおさらいしようと巻頭のあらすじを探すも見当たらず。 不親切な設計だなあ、なんて思いつつ、 (えーと、第1部はギャンブル世界大会の国内予選で義賊の零が予選突破して、最後は予選通過者が乗ったリムジンが故意に崖から落とされる…とか、そんな内容の話だった気がする) 数年前のおぼろげな記憶をたどりつつ、あらすじが無い理由が第1話で明らかになる。 第1話前半のあらすじ 国内予選開催者財全の横暴で予選通過者が乗ったリムジンが故意に崖から落とされる。 財全や取り巻きの黒服は安全地帯から崖下を見下ろし、参加者の標は危険を察知して転落直前にリムジンから降りて生き残る。 標(零っ!頼む…生きていてくれ!零が生きていてくれて、初めて陽が昇る!扉が開く!僕だけじゃダメなんだ!僕だけじゃ…) 神風は吹かない!女神は微笑まない! 牛耳られたまま終わる…!終わってしまう! 必要なんだ!零が!! 標(零っ!!)  ナレーション 『数年後…  ドリームキングダムのあの悪夢の1日  崖からの転落から数年経った…  20XX年3月  ある伝説が跋扈(ばっこ)した!  不敗の……  ギャンブラー伝説!!』 そして、第1部とは無関係のゴルフ学生チャンピオン京介の平和な接待ゴルフが始まる。 読者一同「「「えっ、えええええええええええええええええええええーーーーーっ!!!!!」」」 (゚д゚)ポカーン (゚д゚)ポカーン…c-(゚д゚)スゥーハァー……C-(゚д゚)スウゥーハアアァー………w|゚ロ゚|w ヌォオオオオオオオオッ!! なんだこれ!!なんだこれっ!!! 全然文脈がかみ合ってないよっ!!なに「数年後」って、なにさらっと飛ばしてんのっ!? 零や標などの主要人物は生きているとして、他の参加者は?いきなり未来? 第1部で世界の大富豪たちが集結して全財産を賭けたギャンブルをするとか言ってなかったっけ?え?何か間違ってる?こっちが何か間違って覚えてる?え?えっ、え?? …納得できない部分がたくさんあるが、雰囲気で察するに国内予選後の零はヤクザのさくらと組んで困っている人々を助けて回っているらしい。精力的に義賊の活動をしているのは嬉しかったが、現時点では標の動向はわからないので、やはり心は晴れない。 全体的に説明不足のまま、第1部から数年後の未来で義賊の零は弱者たちの居住権を賭けて、大家の結城(ゆうき)親子、正確には真介の息子京介とゴルフ対決をすることになる。  覇王賭博伝零ギャン鬼編 第1話「伝説」まとめ ・第1部のストーリーは丸投げ 伏線もうやむや ・数年後の未来でギャンブラー零の不敗伝説が急速に広まっており、一般市民に認知されているほど ・零はスティーブ・ジョブズが着るようなタートルネックにジーンズ、タモリのサングラスをかけている ・50ページほどある第1話で零のセリフらしいセリフといえば最終ページ、  誤解だ…京介さん、オレはあんたのゴルフを本当に評価してる  愚弄なんてとんでもない!が…  が…それでもやっぱり、勝つのはオレなんだ!  ぐらい。全然しゃべらない ・黒のサングラスで表情も全然見えない。平面のサングラスなのに横顔はサングラスの影で見えない  なぜか明るい室内でもサングラスの影は消えない ・ギャン鬼編のギャン鬼って何 ******************* <熱いぜ辺ちゃん HEAT.1 山手線> 心の底から麻雀を愛する大学生、通称辺ちゃん。正しくはぺんちゃんであり、へんちゃんは間違い。 本名渡辺祐一は彼女のめぐみちゃんにデートで麻雀待ちさせてしまうほど、根っからの麻雀好き。しかも腕は弱いときた。 こう書いてしまうとカイジと同類と思われがちだが、辺ちゃんは明るく誰からも好かれる性格のため、同じダメっ子でも卑屈なニートのカイジとは元が違う。髪型や服装もいたって普通だし。 映画館デートで遅刻した辺ちゃんはめぐみと映画館には行かず、近くの喫茶店でめぐみに麻雀やってたでしょ!と説教される。 そんな2人の会話を聞いていたヤクザの山崎が辺ちゃんに興味を持って1局誘うが、めぐみが山崎を同性愛者と誤解してしまい、そこで麻雀の話は立ち消えてしまう。 また別の日。スキーデートに遅刻した辺ちゃんは山手線のホームで待っているめぐみに向かって、 すまん!! 状況をいえば南4局、トップに4千点の2位! 頼む!この手をアガらせてくれっ! ……ここでもう1時間待ってくれ! とのたまう。 さすがに人のいいめぐみちゃんもキレて、辺ちゃんに平手打ちしたあと、わざわざホームまで持ってきた辺ちゃんの牌を線路に蹴り落とす。 辺ちゃんが線路上の牌を拾いに降りたところで電車にひかれそうになったり、ホームにいるお客さんが手分けして牌を探してくれたりとドタバタ。  熱いぜ辺ちゃん HEAT.1 山手線まとめ ・辺ちゃんもめぐみちゃんも善良でいい人 ・ヤクザの山崎はどういう人物かまだわからない ******************* <覇王賭博伝零ギャン鬼編 第2話「魂胆」> フラグ回収だけの完全な作業回。  ゴルフ勝負を明日に控えて、ゴルフ初心者零は下手なゴルフ練習               ↓  翌朝の冬の霜の降りたグリーンはコンクリート状態で特別な環境               ↓       難所の谷越えがある7番コースの選択               ↓             コース移動               ↓         移動後はくじ引きで順番決め               ↓          第2話はこれでおしまい               ↓             (゚д゚)マジデ  覇王賭博伝零ギャン鬼編 第2話「魂胆」まとめ ・零が沈黙(……)しすぎて、全然しゃべらない ・20ページ強ある第2話で感情を吐露したのが最終ページ、 (…………フフ…  分かる!  京介さんの考え、分かる!  が…残念ながら  単純じゃないのさ!事はそれほど!)  だけで発声するセリフは、  わかりました。じゃあ7番で…!  だけ。零が静かすぎてつまらない ・黒のサングラスで表情も全然見えない。なぜか朝でもサングラスの影は消えない ・ギャン鬼って何 ******************* <熱いぜ辺ちゃん HEAT.2 辺ちゃん待ち> HEAT.1が影響してか、とうとう彼女のめぐみちゃんに愛想を尽かされてしまった辺ちゃん。 麻雀の他の面子からめぐみが別の男性と一緒にいることを教えられるが、会うきっかけがない辺ちゃんは自分から動けずにいた。 辺ちゃんと同じ卓を囲むカタギに変装した山崎は彼の心情を理解して、辺ちゃんと辺ちゃんの彼女を会わせようと再会を裏で手引きする黒子に徹する。 どうやら山崎は辺ちゃんと麻雀を打ちたいがために、職業を隠してまで辺ちゃんに近づいたらしい。 粋なおじさんのはからいによって、無事に再会を果たすことができた辺ちゃんとめぐみ。 めぐみは他の男性からのスキーの誘いを断り、辺ちゃんを信じて駅のホームで彼が来るのを待ち続けていた。めぐみちゃんマジ天使。 2人はよりを戻すものの、めぐみは以降1巻では登場しなくなるので、1巻を読んだだけではその後の2人の関係がどうなったかはわからない。  熱いぜ辺ちゃん HEAT.2 辺ちゃん待ちまとめ ・山崎はヤクザで怖いが、辺ちゃんにだけは寛容で優しい ******************* <覇王賭博伝零ギャン鬼編 第3話「戦略」> 前回でフラグ回収済みなので、ほんの少しずつではあるが零の口数が増えてゆく。 とはいっても、零のセリフが少ないことに変わりないので、どっちみち退屈であることに変わりない。 第1部と第2部の間には“空白の数年間”が存在し、空白が埋められないうちは零に感情移入したくてもできそうにない。それほどまでに、空白の存在は大きいからだ。 だから第2部で何をしようとしているのか、さっぱり見当がつかない。 それはそうと、零の笑い方が気になる。 フフ…って黒いな! 学校やご近所さんっていう愛すべき正常な世界では決して病み部分を見せない零…自分にとって有害な人物は間接的に自滅させてしまう裏の零。黒零怖っ! 周りの人達との関係は良好で評判もすこぶる良いから、誰も疑わないし疑わせない。 自滅しても自業自得だから、自滅させられた本人ですら身から出たサビだと思ってる。殺人は悪という博愛の考えがあるから、基本的に殺さないけど、メンタル潰すので元通りにはならない。 なーんて、ホラーまがいのことを考え込んでしまい、(((゚д゚)))ガグブルきて読書を中断。 休憩を取り、頭をクリアにして読書を再会。 第3話はゴルフ勝負序盤で特筆すべきことはなし。 零がしゃべることといえば、ゴルフのルール説明か回収済みのフラグ説明で始終事務的。 アカギのようにドSな発言で相手を挑発したり、カイジのようにぐしぐし泣いて聴衆の涙を誘ったりということがないので、几帳面で真面目な零のセリフには“ひねり”が無く、竹書房から出版されている名言集でも零の名言は極端に少ない。 数少ない零のセリフで零らしいなあと思ったのが、やはり最終ページ、 オレ、割と合理主義者でさ しない主義なんだ。ムダな努力は! ぐらい。 合理主義者だからムダなことはしゃべらない、それが零スタイル。ってことでいいのかな。  覇王賭博伝零ギャン鬼編 第3話「戦略」まとめ ・合理主義者の零はムダな努力はしない主義 ・ギャン鬼って何 ******************* <熱いぜ辺ちゃん HEAT.3 クズ手> 福本作品らしいシリアスな回。 ヤクザの山崎が所属する近代組の下っ端が、他の組が管轄する雀荘でつまらないケンカをしてしまう。 近代組の大幹部である山崎と他の組の幹部の三井は、けじめとして500万の小切手を賭けて麻雀で決着をつけることになった。 今夜の勝負の取り決めを終え、事務所に帰ってきた山崎。 事務所のふすまを開けると、お邪魔してます!とのんきにお菓子をパクついてる辺ちゃんの姿が。 場所を喫茶店に変え、山崎は辺ちゃんの話を聞く。 辺ちゃんは親とケンカして家出したのだといい、山崎を頼って事務所を訪ねたのだが…まさか山崎がヤクザであることには驚きを隠せないでいるようだった。 ======================================  ●辺ちゃんの生まれ年について ====================================== ちょっとここで割り込ませてもらう。 読み込んで気づいたのだが、HEAT.3では喫茶店で山崎が読毎新聞を読んでいる。 テレビ欄上部の日付には、 昭和61年(1986年)4月 15日(火) とある。 わあああああ!これはプロフィールがない福本キャラの素性を知る貴重な手がかりではないか!!! HEAT.1で『渡辺祐一 大学2年生』とナレーションにあることから、 1986年時点で辺ちゃんの年齢は 20歳 (誕生日が4月1日〜4月15日までなら21歳) であることがわかる。 その証拠に、HEAT.1の扉絵で辺ちゃんはくわえタバコで麻雀をしている。 逆算すると、辺ちゃんの生まれ年は… 昭和41年(1966年)生まれ 1980年 → 14歳 1990年 → 24歳 2000年 → 34歳 2010年 → 44歳 2020年 → 54歳 2030年 → 64歳 ということになる!!!! ただ…ひとつ気がかりなことがあるとすれば進級の問題がある。 HEAT.3で4月だから大学3年生かも知れないし、浪人ということもありえる。 彼女のめぐみちゃんから就職や浪人の話は出てこないので、1966年で合ってると思うけど一応。 ====================================== 自由すぎる辺ちゃんに呆然としつつも、今晩だけという条件付きで組の事務所に泊めてあげる優しい山崎。のちの三井戦にカタギの辺ちゃんを同行させ、負けを承知でクズ手を代打の辺ちゃんに預ける心酔ようったらない。 午後7時から雀荘で始まった三井戦は、優勢の三井と劣勢の山崎との点差がひらきすぎ、半荘1回だけの勝負で山崎の逆転は絶望的だった。 雀戦終盤で山崎は同行していた辺ちゃんにクズ手を預け(絶望的な状況でのクズ手だから勝負を投げたも同然)、代打の辺ちゃんに全て任せた後はベランダで風に当たっていた。 次に山崎が辺ちゃんの手牌をのぞいたとき、あのクズ手が役満1歩手前にまで大化けしていて、辺ちゃんが役満でアガれば山崎の逆転勝利もありえる大勝負になっていた。 しかし、そこは辺ちゃんの解説役ともいえる山崎氏。 一点集中型の辺ちゃんの打ち方では役は揃わないと読んだ山崎は、牌を無理に押し倒して役不足を役満として押し切り、場の混乱に乗じて三井に500万の小切手を切らせた。 さっさと帰ろうとする山崎に向かって、善良な辺ちゃんは役不足を自己申告。 またも場が混乱するが、山崎は牌がバラバラになった卓を指して証拠がないと言い張り、山崎の主張が通るかたちで山崎のグレー勝利になる。  熱いぜ辺ちゃん HEAT.3 クズ手まとめ ・家出中の辺ちゃんはヤクザの事務所で1泊 ・辺ちゃんの麻雀が弱いのは一点集中型だから ******************* <覇王賭博伝零ギャン鬼編 第4話「完璧」> いまさらだが、ギャン鬼編の単行本カバーがシルバーでカッコイイ。 同じ講談社出版のカイジ単行本カバーとはレベルが違う…零とカイジって太眉で魂似てるから、案外異母兄弟なのかもしれない。 伊藤カイジの実家は母子家庭だから可能性は0%ではないはず。 ぐうたらな兄と完璧な弟か。立場逆か。 そんな神展開あるわけないので、零カイジ異母兄弟説は打ち消して第4話を読み進める。 義賊の零は弱者たちの居住権を賭け、大家の息子のゴルフ学生チャンピオン京介とゴルフ勝負をすることになった。 ゴルフ用語はさておき、谷越えのある7番コースで交互に打ち打って、より少ない打数で穴にゴルフボールを入れたほうが勝ちということらしい。 零は1打目でボールを谷底に打って、公式ルールの適用を逆手にとった特設ティー(別の場所)でプレイ続行を宣言。 その特設ティーというのが、わずか5mの平らな芝生の先にゴールの穴という破格のサービスホールで、京介の裏をかく。 しかも芝生には霜が降りていて、スケートリンクのようなカチコチの状態。第2話のフラグが活きる。 零は3打目で穴まで30cmというところまでこぎつけ、京介は2打目を打った。  覇王賭博伝零ギャン鬼編 第4話「完璧」まとめ ・タモリのサングラスは零の感情が高ぶったときに一瞬透ける。同原理でサングラスの影も一瞬消える ・ギャン鬼って何 ******************* <熱いぜ辺ちゃん HEAT.4 国際親善> 衝撃の回その1。 三井戦の翌日。 ブサイクな男性組員だけ近代組の事務所に残し、法事という嘘をついて山崎は近くの喫茶店で他の組員と時間を潰していた。 山崎の留守中に荒崎源一という山崎の先輩ヤクザが事務所を訪れ、山崎に存在を忘れられていた寝起きの辺ちゃんが物色中の荒崎の目にとまり、荒崎から寝起きざま麻雀勝負をふっかけられる。 辺ちゃんが麻雀に負け、荒崎に食事に連れて行かれそうになったところで、存在を思い出して飛んで帰ってきた山崎と納得しない荒崎とで再戦交渉がおこなわれる。 交渉が終わって荒崎が帰った後、辺ちゃんは山崎から先輩は同性愛者で身内を探して回っていること、面食いで辺ちゃんが狙われていること、そして今夜おこなわれる決戦のことを話した。 その荒崎戦の勝敗条件が究極で、勝てば辺ちゃんの貞操は守られ、負ければ荒崎と山崎と辺ちゃんでワンナイトラブというフリーダムな展開をみせる。 その夜、決戦。 どんな手を使っても勝ちたい山崎と辺ちゃんはセリーグの野球選手を牌になぞらえてサインを使うが、荒崎側はパリーグの野球選手をサインに使っていて、両陣営とも役作りのためなら不必要牌の卓下交換もいとわないイカサマ泥仕合になる。 13巡目。 役作り中の辺ちゃんよりも先に荒崎側の黒服がアガってしまい、辺ちゃんは後ろの卓から盗んだ牌を組み込んで、半ば強引に黒服より強い役でアガる。 役の検証の末、辺ちゃんが盗んだ牌だけ色が違うことがバレて、両陣営の勝敗は逆転。 ジ・エンドかと思われたそのとき、とっさに辺ちゃんが放った言葉で場が丸く収まる。 引き下がった荒崎はおとなしく帰り、辺ちゃんの貞操の危機は去った。  熱いぜ辺ちゃん HEAT.4 国際親善まとめ ・ギャグとシリアスのギャップ差がすごい ・熱いぜ辺ちゃんに登場するキャラクターはどこか間抜け 超人はいない ******************* <覇王賭博伝零ギャン鬼編 第5話「未知」> 特設ティーからの2打目でナイスショットを打てなかった京介がわめいて、ただでさえしゃべらない零の発声する機会を奪う。 さらには錯乱して精神に変調をきたした京介が、 ククク カカカ キキキ! と内心で狂笑しだす。怖すぎ。 第5話で進行したことといえば、京介が2打目を打ち終わったこと、プレイオフを確認したことだけ。 零は事務的に話してばかりでつまらないし、感情を殺しているのかクールなのか能面のように無表情。  覇王賭博伝零ギャン鬼編 第5話「未知」まとめ ・ヒステリーでオーバーな油より口の軽いカイジに慣れていると、しゃべらない零の無表情がつらい ・ギャン鬼編のギャン鬼って何 ******************* <熱いぜ辺ちゃん HEAT.5 勇気> HEAT.4であれだけもめておきながら、山崎の事務所に来た荒崎と戯れ程度の麻雀をする山崎。 ヤクザの世界は縦社会で、大幹部といえど先輩には逆らえないらしい。 (親がいる実家には戻らず1人暮らしの)辺ちゃんも山崎たちの会話に混ざり、山崎のイライラの原因が喫茶店青山で働いている向井という女性従業員にあることを指摘する。 指摘された山崎が事務所を出て行ってから30分、青ざめた黒服が関西のN会に山崎が刺されたことを伝えに事務所に駆け戻ってくる。 病院に搬送される救急車の中。 山崎に指名されて付き添い人になった辺ちゃんは、重態の山崎から思いもよらない告白を受ける。 俺はお前に憧れたと、人は俺を見ていなかったと。 それは人の目を気にして自分の満足する行動ができない、強面に反して意外にも繊細な心を持つ山崎の知られざる胸のうちだった。 山崎が入院してから、事務所に行かなくなっていた辺ちゃん。 1ヶ月後、辺ちゃんが街で見たのは退院した山崎と向井が一緒に歩いている微笑ましい光景だった。  熱いぜ辺ちゃん HEAT.5 勇気まとめ ・誰だって悩みのひとつやふたつはある ******************* <覇王賭博伝零ギャン鬼編 第6話「情報」> ついに零が1言も、心の声や・・・でさえ…何も言わなくなってしまった!!!!!! だから零は立っているだけである。しかも正面アップは1カットしかなく、ギャラリーと同化している。 おまけに小さく描かれてる群れから零を探すから、ウォーリーを探せ状態になってる。ひどい。  覇王賭博伝零ギャン鬼編 第6話「情報」まとめ ・1分で読める(自分は45秒で読めた) ・ギャン鬼編のギャン鬼って何 ******************* <熱いぜ辺ちゃん HEAT.6 ブドーカン> ギャグ一辺倒の回。 (わざわざ麻雀したいがために)中華料理屋でバイトをはじめた辺ちゃん。 しかし不運なことに、その中華料理屋では先代の店長が麻雀で身上を潰してしまい、麻雀禁止になっていた。 それでも麻雀したい辺ちゃんは、おニャン子クラブin武道館ライブの自腹チケットで同僚を釣ることに成功する。 コンサート当日。 ヤクザの山崎をアッシー(!)に使って、車内で麻雀を打ちながら武道館に会場入りする辺ちゃんたち。 さらには卓を会場内に持ち込んで、コンサート中も麻雀を打ち続ける。けど同僚は嫌々。 ところでコンサート応援中のファンのひとりにAKAG(Iはなし)のハチマキしてる男性ファンがいるけど、画面にアカギいないけど何?これって神様のいたずら? それはさておき、辺ちゃんが地面に落ちた牌を拾おうと立ち上がったとき、おニャン子の人気アイドル福永が現れて、信じがたいことに拾おうとした牌が福永のショートパンツに入ってしまう! 辺ちゃんは福永のいるステージに駆け上がり、ショートパンツから牌を取ってツモッ!と叫ぶ。 そんな暴挙が許されるはずもなく、ステージに上がった大勢のファンから襲撃される。  熱いぜ辺ちゃん HEAT.6 ブドーカンまとめ ・ギャグ回とシリアス回の作者が同一人物とは到底思えない ******************* <覇王賭博伝零ギャン鬼編 第7話「計算」> ギャン鬼って何って考えて、ギャンブルの鬼だからギャン鬼という発想に落ち着く。 つまり、ギャンブルの鬼のような零ってこと?! 福本ファンサイトでギャン様って呼ばれてるのは零のことだったっ??! 単行本第1巻しか読んでない読者には知りようもなく、ギャン鬼の意味はわからずじまいのまま、第1巻は第7話で最終話となる。 3打目を打った京介のボールは穴から3mの地点で止まり、(充分寄せられたと思うのだが)納得いかない京介は零にたて突く。 たて突いたことで、1話ぶりに零がしゃべると思って期待していたのに… 零「通常、この手のかまぼこ形のパターは、中が空洞で、ヘッドの重さは350g程度。   でも、そのパターは中身が詰まっていて、ヘッド重量は700g」 京介(…………) 零「その分…振り幅は少なくとも、玉は転がる理屈です。   運動エネルギーの法則で言うなら、ヘッドが2倍重いなら2倍の距離を進む……という理屈ですが、実際は ナレーション『運動エネルギー=2/1×重さ×速さ×速さ』 物理の授業かっ!!!!!!!!!!! 真面目ですねっ!!!!とことん几帳面なんですねっ!!!! …まあ、それでわかったこともある。 アカギは天才型、カイジは努力型、なら零は計算込みの秀才型路線でいくということだ。 で!忘れてはならないのが、最終ページ、 零「魔法……パット(ボールを寄せて入れる)が入らなくなる魔法!」 京介「ああ?」 零「いいかな?」 ヒソ… 零「京介さんにかけちゃって…!」 である!零にもユーモアがあってよかった! 数学マジックっぽいから、純然たる魔法ではないけど事務口調よりはマシ。  覇王賭博伝零ギャン鬼編 第7話「計算」まとめ ・堅物かと思われた零にもユーモアがあった ******************* <熱いぜ辺ちゃん HEAT.7 昭和の竜馬> <熱いぜ辺ちゃん HEAT.8 クリスマス> <熱いぜ辺ちゃん HEAT.9 大切なもの> <熱いぜ辺ちゃん HEAT.10 若者へ> HEAT.7〜HEAT.10は一連の流れになっているので、駆け足でお送りする。 麻雀で負け続けて借金が重なり、バイトをクビになってホームレスになった辺ちゃんは全財産を失った。 転落人生の極みだが、シュールかと言うとそうでもなく、ホームレス仲間と麻雀ができるだけで辺ちゃんは幸せそのもの。 服装も水玉マフラー(もしくは水玉タオル)と汚れたロングコートに変わり果て、落ちぶれた辺ちゃんを象徴しているかのようである。 ホームレスの辺ちゃんを見て、元バイト先の店長と同僚は連れ戻そうとするが、辺ちゃんはホームレス仲間と麻雀をすると言って他人に耳を貸さない。 店長は嘆くが、心酔を通り越して過保護な山崎は辺ちゃんを“昭和の竜馬”と称する。 山崎さん、さすがにそれは飛躍しすぎじゃないですか? 麻雀のツケを他人に払わせる最低な人間にさせないために、あえて辺ちゃんを突き放した山崎は辺ちゃんの里親ポジションで確定です。 ――――――――――――――――――― 熱いぜ辺ちゃん HEAT.7 昭和の竜馬 もっとも辺ちゃんの童顔が深刻だったクリスマスの回。衝撃の回その2。 まず辺ちゃんの目がくりっとしたパッチリ∂∂で、鼻の形も↓ではなくゝであることから中性になっている。 それと等身が縮んでいて、大学生なのに10代に見えることから、残酷にもHEAT.1のめぐみちゃんよりキュートである。成人男性にもかかわらず、である。 一人称が俺から僕に変わり、口調も、 退化前「スキーの金、負けちゃったんだよ!文句あんめぇっ!」→退化後「お金は…僕、ないの!」 てな具合で、何もかもが様変わりしている。 あまりにおかしいので、読み込んでみると童顔の要因がクリスマスの回から登場した「みな子」という女児にあることがわかった。 みな子ちゃんはHEAT.6の中華料理屋の木島店長の一人娘で、ツインテールが特徴的な家族思いの優しい女の子として登場する。 つまりどういうことかというと、同じカットに童顔のみな子ちゃんと辺ちゃんを描いて顔が混同してしまった可能性が非常に高い。 ネームはまとめて描いてるだろうから、その段階で影響を受けた可能性も否定できない。 それを裏付けるかのように、みな子ちゃんと辺ちゃんの顔が瓜二つのときがある。 1986年12月24日 ながらく木島家では麻雀で家族関係がこじれていた。 とある公園で木島家の親子再会クリスマス麻雀大会を成功させた辺ちゃんは、木島家のご厄介になってクリスマスを過ごす。 ――――――――――――――――――― 熱いぜ辺ちゃん HEAT.8 クリスマス よほど天運が強いのか、はたまた愛され体質なのか。 寝泊りだけでなく、綺麗な服まで与えてもらって木島一家と雀荘で遊ぶ辺ちゃんは午前3時過ぎに教訓的な夢を見る。 ――――――――――――――――――― 熱いぜ辺ちゃん HEAT.9 大切なもの こちらも福本作品らしいハートフルな回。 木島店長の助力もあって、1度クビになった中華料理屋で働いて生活を再建した辺ちゃん。 ホームレスではなくなり、いつも通りの生活に戻ったところで、親しい人物の危篤を知る。 親しい人物の死は辺ちゃんの人生のターニングポイントになるので、これから読む人のためにもここから先は書かない。 ぜひ単行本を買って、続きを確認してほしい。 ******************* ・終わりに 大変申し訳ないですが、ただ長ったらしい零より、辺ちゃんのほうが1話で内容がギュッと凝縮していて面白かったです。 熱いぜ辺ちゃんはストーリーが試行錯誤している感じが好きで、呆れたときは盛大にズッコケたり、どの回でも適度にお笑い要素があって、ギャグとほのぼのとシリアスが混在した人間群像劇がGOOD! 一方、零シリーズは壮大なわりに話の全体像が見えてこなくてどうにも…零の理詰めの性格もあって、思っていたほど楽しめなかったです。