「コミックマーケット82感想」 雑記。 ・前置き  いつもいつもイベント参加後の感想といえば「○○○○(イベント名)お疲れ様でした」の一言。  これじゃまずい!  ただでさえ個人制作者で忙しいうえに、万年仮死状態のmysite。更新する機会も年数回が限度。  まずい、まずすぎる!!  なにかないか…この状況を打開できるなにか…そうだ!キュピーン+  ということで、コミックマーケット82にサークル参加したjungamesとコミケにまつわるあれやこれやを読み物としてまとめてみました。 ******************* <コミケ参加前日のjungames> 8月10日(金)夕方:恵比寿  イベント同伴者の方と恵比寿で一流フレンチを食べるも、和食党なので高カロリーのクリームに胸を悪くしてしまう。  翌朝になってもは気持ち悪さは解消されず、新橋に向かうJRの車両で2人組みの青年から座席をゆずられる。 <コミケ参加当日のjungames> 8月11日(土)早朝:新橋  緊張でJR新橋駅でお腹が痛くなる。  こんな時に限って!という心の叫びは冷や汗とともに流れ、間一髪のところで駅構内のお手洗いの個室に駆け込める。  そこで5分ほどひきこもり、そのかいあってか体調が急回復。冷や汗と腹痛が治まる。  JRからゆりかもめに乗り換え、ここでも座席をゆずられながら、イベント同伴者の方に心配されて東京国際展示場へ。 8月11日(土)朝:有明  夏コミ経験者なので人混みに驚きこそしなかったものの、サークルでのイベント参加は初なので超緊張。今まで狙って小規模のイベントにしか参加してこなかったこともあり、人口過密気味の同人ゲームでのサークル参加が想像以上に過酷を極める。  人口過密気味というのはどういうことかというと、少々込み入った話になるかもしれない。  といういのは、同人ゲームはサイクルが早いのでプロデューサー、プログラマー、イラスト担当、シナリオ担当といった個々に役割が振られる完全分業制のため、ゲーム制作に携わっている人物が多く、イベント参加も必然と大人数になってしまい、巨大POPスタンドの乱立や搬入のダンボール箱の関係もあって、サークルスペースの内側がすし詰め状態になってしまうのである。  他ジャンルのサークル参加者の中には、それは誇張であって事実ではないと思われる方もいるかもしれない。だがコミケは全国選抜なので、島サークルの島中であろうと同人ゲームともなればDVD-ROMメディアケースが入ったダンボール箱数箱に巨大ポスターは当たり前の世界。  それだけ経済力や組織力がある証でもあるのだが、その反面、作品を配布する環境としては快適というよりは窮屈、劣悪とまではいかないがサークル初心者がノリで来られるような場所では決して無い。 <コミケ準備会さんにお願いしたいこと>  人気サークルさんは壁、中堅サークルさんはお誕生日席に固めて配置してくださることはありがたいのですが、搬入するソフトの本数が多い同人ゲームサークルさんはなるべくお誕生日席か島角に配置してくれるともっと助かります。 <コミケの同人ゲームサークルさんにお願いしたいこと> ・メディアケースが入ったダンボール箱について  ダンボール箱はパイプ椅子の後ろではなく、机の下に積み重ねて置いてくださると通路が通りやすくなります。足に箱が当たるのが不快でしたら机下の隅に置くと足が当たりません。  わざとではないにせよ、共同の通路に置いてあるケース入りの箱を何度も蹴った記憶があります。 ・巨大POPスタンドについて  これはかなり危険でした。  巨大POPスタンドというのはパイプ椅子の後ろに置く、主に人気サークルさんで見かける数メートル規模の大きなPOPスタンドのことですが、島サークルでは誕生日席の他は満足な置き場所が確保できず、通路を通るときにぶつかって倒してしまいそうになったり、POPスタンド自体が悪いと掲示物が外れて頭上に落ちてくるなんてこともあります。  巨大ポスターは机に貼るか、卓上POPスタンドでおさまる範囲でポスターを作ってきてほしいです。 ・イベント参加人数について  足の踏み場も無いような状態ですから3つ目のパイプ椅子を置く場所がありません。  3人以上で来られても3人目以降は立ち続けねばならず、結局大人数で来たのに、1人だけ座って残りの人はコミケ見物。これでは何のためにサークル参加したのかわかりませんし、コミケ見物をしたいだけなら一般参加で充分のような気がします。  島サークルでしたら2人参加でまず不自由しないかと思います。かえって大人数で来られたほうが私物が散乱して邪魔です。  ダンボール箱同様、通路にはみ出してしまったカバンやスーツケースを何度も踏んだ記憶があります。  jungamesは個人制作者なので手荷物も少なく、周囲に多大な迷惑をかけるということはありませんでしたが… <そして反省会へ> 8月11日(土)夕方:池袋  滞在先のホテルの一室にて  イベント同伴者=同   Jun=J J「周りはどこも商業レベルの作品ばかりですごかった。まるで巨大なビルとビルの間に1軒の民家(jungames)があるみたい」 同「例え、ビルとビルの合間の家でも派手ならみんなが立ち止まってくれる。みんなが「えっ?!」と立ち止まってくれる“なにか”が足りないからスーッと通り過ぎる」 J「大人数で参加してるサークルさんに匹敵する“なにか”か」 同「このゲームの売りはなんなの」 J「これはこういうゲームで…これはこういうソフトで…(自分でプログラムを打ってるので全てのソフトの説明はそらで言える)」 同「ふーん、(サブカルチャーに)興味ないから説明聞いてもよくわからんけど」 J「興味ないのに聞いたのっ?!説明した意味ないじゃん」 同「“立ち止まってもらうことが重要”なんだよね。大人数の中で1人ポツンとしていたとして「大勢いる中で1人で座っているこの子は一体、何を作ってるんだろう」っていう立ち止まるだけの“なにか”が無いからダメ」  それからディスプレイについて一通りのディスカッションがおこなわれる J「ふーっ、イベント参加初期に比べるとすこしは派手になったかな」 同「今日から比べると大分マシになったんじゃない」 J「やっぱり大人数の迫力に比べるとまだまだなのかなあ」 同「あとは置物を置いてみるとか」 J「ソフトの種類がいっぱいあるから置物を置くスペースはないかな。全部オリジナルでフィギュア制作の技術もないし、変なぬいぐるみ置くぐらいなら置かないほうがいいと思うんだけど」 同「置物が無理なら自分を派手派手にするとか。コスプレのおねえちゃんみたいに」 J「コ、コスプレ…って!黒髪ストレートで私服もシンプルだし、美人でもないし、オリジナルだからコスプレなんてできない!」 J(コスプレっていったら保育園のハロウィンでウサ耳をつけて「うさちゃんだよぴょんぴょん」と言いながら飛び跳ねたことぐらいしかないし。そんな恥ずかしいことできない!) 同「“立ち止まってもらうことが重要”なんだよ。きっかけなんて何でもいいんだよ!ちょっとは企業努力しなよ!」 J「企業じゃありませんけど!」 同「コスプレができないなら、頭に大きなリボンをつけたフリフリのおねえちゃん(ゴスロリ)みたいでもいいじゃん!バニーちゃんでもいいじゃん!目立ってナンボの世界なんでしょうが!」 J「(だんだんヒートアップしてくる)無口な職人タイプだからコスプレとか合ってない!男性でも女性でも美人なら着飾ってもはえるだろうけど!」 同「そういう問題じゃないっ!!イベントは営業なんだから接客の時だけ派手でいいわけ。普段着は質素でいい。職人であろうと営業になれば接客だよ!!」 J「さっきから、お金お金って…っ!そういうところは企業ブースへ配置されるの!」 同「金じゃくてもいいや。作品を広めたいなら、立ち止まってもらわなきゃ何も始まらない!コスプレは単なるきっかけでしかない!コスプレ広場でもみんながみんな美人というわけでもない。その集団の中でもキラッとした光るものがある人にみんな並んでる。そんで、その人が美人とは限らない」 J「キラッとした光るものがある人って、具体的にはどんな!(同伴者の方は)どんなコスプレイヤーが見ていて面白かったわけ!!」 同「全身長袖の自衛隊員が着るような迷彩柄の服を着たにーちゃんがいて、そのにーちゃんはヘルメットかぶって顔は黒く塗りつぶしてて。ジャングルで野営するときみたいな枝とか葉っぱをヘルメットにたくさんつけてて、目元は暗くて表情はまったくわからない。そのゲリラ状態で銃持ったまま、うつ伏せで銃を構えてるポーズを延々と…」 J「それのどこが面白いの!ただ地面に這いつくばってるだけじゃん!」 同「うん、だから最初は人形かと思った。あまりに動かないんで、人形かどうか確かめようと思ってしばらく見てたら動いた。迷彩のにーちゃんは立つんだけど、ギャラリーの人からお願いされて、また伏せてた」 J「他には!」 同「他にはって…ああ、さいとうたかおのゴルゴ13のにーちゃんがいた。ゴルゴはライフルで色々なポーズ取ってて、研究してるなあって感じだった。銃を掲げたりとか、膝をついたりとか。人が引いたときに、なんていうのかな顔を誇張するような線っていうか、メイクを一生懸命直してて。暑いのに大変だなあって。人が来てお願いされたら、またポーズ取ってっていう感じだった。(コスプレの)イベント主催者の人が来て、名刺を交換してたりもしてた」 J「えぇ〜、そんな舞台裏しか印象に残ってないの。女性コスプレイヤーは?」 同「女はどれも一緒だもん。オカマちゃんもいたかも知れないけど。巫女とかミニスカとかあんなんばっかりで意外性ないし、見慣れたし見飽きた」 J「確かに、コスプレは女性コスプレイヤーが大半だから、女性ばかりの中で男性コスプレイヤーがいたらかなり目立つかも。ましてやゴルゴコスが1人だけなら嫌でも目立つ」 同「ようは“目立て”ってことだな。ユー アンダスタン?」 J「あ…アンダースタン」 同「方向性が決まったんだから、いつまでもめそめそするな!失敗は人を成長させるって言うし、最初からてっぺんにいたら、後は落っこちるだけだしな」 J「めっ、めそめそしてないしっ!鬱になってるだけで、精神的なもので今は動けなくなってるだけだからね。本当の本当だからね(シーツに顔をうずめる)」 同「はいはい、自称鬱ね。本当に鬱の人はごはんも食べられません」 J「痛っ(背中をバシバシ叩かれる)」 同「あんたはこの世界(同人界)で生きていくんでしょ。だったら、もっと強くならなきゃ!度胸度胸!」  反省会ならぬ戦略会議は帰りの新幹線の中まで続き、jungamesは1回りも2回りも成長したのであった。 ******************* ・エピローグ  帰りの新幹線で地元に帰ったJun。  記憶を風化させないうちに100均でディスプレイ用品を買い足し、最重要品である“あるもの”を買いにいくために繁華街の商店街を歩き続けるJunの足は1軒の派手な外観の商店の前で止まる。 「ここが例の」  Junの視線の先。  そこはゴスロリやステージ衣装を各種取り揃える総合的なマイノリティーファッションショップ。 (こんなお店、入ろうと思ったこともない。けど、)  ちょっとは企業努力しなよ!と言うイベント同伴者の方の顔が脳裏にちらつく。真面目なJunは正論で反論されると、その生真面目さゆえに何も言い返せなくなってしまうのだ。 (自分が着ないからと思って言いたい放題。まあ、それはそれでありがたくもあるけど)  Junが探している“あるもの”、それは次の同人誌即売会に着ていく“衣装”だった。 <回想> 8月11日(土)深夜:池袋  滞在先のホテルの一室にて J「衣装って言ったって。それはそれで抵抗あるなあ」 同「とにかく地味なんだよね。瞬間的にパッと視界に入って、そこで足を止めてもらわなきゃ」 J「うーん、じゃあ、えと、いつも即売会に参加するときは黄色いカエルのテーブルクロスを敷いてるから黄色い衣装はどうかな。黄色い衣装ってイベント会場でもあんまり見かけないし」 同「そう、それだよ!!!黄色なら色がかぶらないし、いいんじゃない」 J「黄色い服なんて買ったことすらないよ。目立つし恥ずかしいなあ」 同「1人なんだから浮くぐらいでちょうどいいの!!とびきり派手なの買ってきなよ」 (ああやって言ってしまったからには、買わざるおえないよね。黄色い衣装なんてあるのかなあ、赤は赤字がかかって嫌だし、黒は黒髪だから黒×黒で地味なのかも)  思考を中断して、幅広の階段を数段上がり店舗がある2階へ。  大通りの商店街に面していることもあり、店内は見物の家族連れや単身の女性客でそこそこにぎわう。 (変な店じゃなくてセーフ。店員さんも狂ったような感じではないし、ここなら安心して服を見れる)  マイノリティーファッションショップに入ること自体がはじめてなので、とりあえずゾーンごとにわかれた様々なジャンルの服を手にとって見る。 (コスプレイヤーや芸能人って、こんなピラピラした服を平然とした顔で着るんだ。芸能界って華やかな世界ではあるけど、そういう意味では虚栄と欺まんに満ち満ちた世界なんだな。だから人としてどこか不自然な感じがするから、アイドルってイマイチ好きになれない)  当初の目的を忘れ、すっかり哲学的思考にふけってしまうJun。  見ながら歩きでフロアを練り歩くも、黄色い衣装はわずか数点しか見当たらない。 (黄色い服はあるにはあるけど、こんなの…漫画の世界じゃん!大胆な切り込み、ありえない柄、どこのアンリアルの住人だよ、常識はずれにもほどがあるよ!どうあがいたって着れない、無理、無理だ)  黄色い衣装の品数があまりに無いので、色をオレンジまで拡大して店内を再捜索。 「これなら着れる!(小声)」  繊細な衣装の性質上、試着はできないので慎重に決めた衣装1枚をお買い上げ。  喜び勇んで帰宅するも、衣装を着用した鏡の前でJunを待っていたものは… 「やっぱりこれ派手すぎるうぅぅ〜」  店内の雰囲気で感覚が麻痺してしまっていたのだろう。  鏡の中に映っていたのは、普段の自分からは想像できない華美に装飾された人形のような自分の姿だった。 ******************* ・あとがき  いかがだったでしょうか。  素直に感じたままを書き連ねてみたのですが、すこしでも気持ちが伝わればなと思います。  次回以降の即売会からは衣装を着用して参加しますので、今回から以前よりは発見しやすくなりました。